ひょうたん島

今が好き♪

1998.2.1

「な~みをちゃぷちゃぷちゃぷ‥‥‥」。昭和39年から44年にかけてNHK総合テレビで全国放送された人形劇「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングの出だしです。もう30年ほど前のことになりますがこの歌を覚えている人も多いことでしょう。たしか平日の夕方、毎日5時半頃から始まった15分番組だったと思いますが。ドンガバチョ大統領を筆頭に、トラヒゲ社長、ダンディ保安官、博士など漂流する島の住民たちの愛と冒険の傑作コメディー。声の藤原有弘、熊倉一雄、黒柳徹子等は知っていたのですが、原作、脚本が井上ひさしだと判ったのはだいぶ後のことでした。この人気人形劇が数年前から、BS放送やハイビジョン放送などで再放送されています。実はだいぶ前から再放送の希望が高かった番組なのですが、当時の放送は白黒、VTRがやっと出てきた時代でした。5年間に渡って放送されたものの録画テープはもちろん無し。台本も完全なものは8話ぶんしか残っていなかったそうです。これでは再放送はとても無理。

ところがこの番組には熱烈なファンがいたのです。放送開始時小学校5年生の伊藤悟君。なんと放送の内容を全編ノートに書き留めていたと言うのです。5年間一日も欠かさずテレビのまえで。情景スケッチ、人物描写、セリフまでも、書きに書きました。足りないところは見終わった後、思い出しながら。完全な記録にいどみました。見かねたおとうさんは後年、まだ高級品だったテープレコーダーを買い与えたそうです。これでセリフの筆記はだいぶ楽になったことでしょう。

いるんですねー、こういうすごい事をやる子どもって!

この少年の膨大な観劇ノートがNHKをしてリメイク再放送を可能ならしめた鍵であったのは言うまでもありません。

現在、45歳になった伊藤少年はひょうたん島の本をはじめ、教育関係の本などを執筆する著作者として活躍中とのことです。