平均寿命

今が好き♪

1999.9.2

日本が世界一の長寿国になってから久しい。この夏、厚生省が発表した「98年簡易生命表」によると、我が国の女性の平均寿命は84.01歳で前年より0.19歳伸びた。一方、女性とともに戦後一貫して伸び続けてきた男性の平均寿命は初めて下がったと言う。前年より0.03歳短くなって77.16歳になってしまった。それも、自殺者の激増が原因だと言うからショッキングだ。疾患、戦争、災害などが原因でなく自殺とは前代未聞。人類史上はじめての事態だ。

実際、過去最高だった86年の自殺者数25,667人をあっさり越えて、昨年は31,734人となってしまった。これは米国の年間自殺者数にほぼ同じで、人口(日本125百万人、米国266百万人)の比率でいうと倍の件数ということになる。また英国の自殺者は年間5,000人以下(人口59百万人)というから、わが国の自殺者数は異常に高かったことがよく解かる。

このうち、男性自殺者は22,338人。前年の4割、6,500人も増えた。過去最高に上乗せした数に符合している。さらに驚くのは自殺動機だ。50、40代の家庭でも、社会でも責任ある地位にあった男性の、経済不況による悲観自殺が増加の主因というからやりきれない。

誰が見ても、経済失政がもたらした結果である事は明らかだ。雇用の創生、経済安定策を最優先させるべき時に、戦争ガイドライン法・盗聴法など不要不急の法案を可決し、あきれたことに日の丸・君が代法まで通してしまった日本の政治。そしてリストラを後押しする産業再生法案である。大相撲の表彰式、高校野球の始球式にしゃしゃり出てテレビに映り、国民生活を犠牲にして人気取りをしている暇などこの国の首相にはないはずだ。

それにしても、新聞もTVも自殺で寿命が下がるような異常事態をなぜ騒がないのだろう。交通事故は死者が1万人を越えると大騒ぎだ。こっちは3万人を越えているというのに‥‥。

外国通信社の特派員たちは、まるで戦前に戻ったような法案の国会通過に批判のキャンペーンもせず、自殺増の責任も追求しない日本のマスコミの報道姿勢と、それでも耐えているおとなしい子ひつじ国民をこぞって心配しているのである。