続「サン・ファン・バウティスタ号」

今が好き♪

2001.8.16

つい先月、仕事の関係で仙台に出かける機会がありました。木曜日ITセミナー、翌日同地でセミナー参加者との親善ゴルフ、その日の内に帰り、土日は家庭サービスの予定でいたのですが、新庄市で行なわれる結婚式の招待状が舞い込みました。これが一日置いた日曜日。山形県新庄は父の出身地で、いとこの長男が結婚するとの事、出席することにしました。仙台だけなら新幹線でと考えていたのですが、結婚式のしたくも持参、中一日の暇つぶしと移動を思えば車の方が便利、もともとドライブは好きな方ですからロングドライブを決め込みました。行く先で、まず頭に浮かんだのが石巻市、例の帆船「サン・ファン・バウティスタ号」でした。こうして、木曜早朝東京発・仙台、金曜・石巻、土曜・尾花沢は銀山温泉泊、日曜・式出席と親戚訪問の後、当のいとこ宅泊、月曜日の帰路、今度は母の郷里福島県矢吹町に寄り、叔母やいとこに久々の対面という、期せずして4泊5日走行距離1400Km、東北観光・親戚めぐりひとり旅が実現しました

さてお目当ての「サ号」。ありました。石巻漁港の対岸、牡鹿半島基部西端にテーマパーク「宮城県慶長使節船ミュージアム」、通称サン・ファン・バウティスタパークが建設され、帆船は海に向けてドッグに係留されていました。広い駐車場ビル、常長がローマで見たであろう庭園を模した円形広場、サンファン館と呼ぶ、航海やサ号・使節団に関するジオラマ・模型・パネルなどの展示館、売店・レストラン、その他付帯設備など地方都市の意気込みが感じられる立派な施設でした。「ロマン海都」を標榜する市の象徴と位置付けられているようです。
 土曜日でしたが、開館一番であったせいか入場者は4・5家族。館の呼び物「シミュレーションシアター」は、東京デズニーランドの「スターツアーズ」のようにスクリーンの映像に合わせて観客席全体が動き、帆船での荒天航海が実感できて、結構楽しめました。

ただ、48名分の座席に入場者は私とひと家族の計5人のみ、係りの女性が3人もついて…。この帆船には帆走資格がないと前回書きました。もちろん展示にも、説明資料にもそんな記述はありませんでしたが、シアターの映像をよく見ると、帆走場面で「サ号」を曳航しているロープが判ります。

船内も各デッキに案内嬢。彼女達はサ号に船籍がないことを知っているのでしょうか。このまま永久保存をすると説明していました。船そのものは忠実に再現されているようで、帆装・索具などを見ると40人程の訓練された船員で帆走できそうです。ただ船籍取得には離着岸時に使用するエンジンの搭載、航海灯や通信機の装備、かまどなど裸火使用設備の改善と消火装置の設置、ビルジ排水ポンプの電動化、舷側砲門の水密化などなど、相当の改造が必要で、復元以上の費用が掛かりそうです。平成8年に予定されていた東京臨海副都心での世界都市博覧会(青島都知事公約で中止)に、サ号を展示する計画があったとの話ですが、曳航索つき航海での参加なら、かえって中止が良かったかもしれません。今後、県あるいは市に再度予算が計上されるか、篤志家が現れて、展示用「永久保存」復元船が生き返ることを切に期待しますが、市のシンボルとは言いながら、施設の維持管理・人件費で採算上は既に問題がありそうです。将来、サ号の船籍取得運動でも起きたら一口寄付でもしようかと思っていますが…。

仙台青葉城跡のサ号船主、伊達正宗像見物から始まって、松島・石巻・一軒宿温泉追分・みやぎの明治村登米(とよま)・鳴子温泉・花笠音頭の銀山温泉・新庄・矢吹と回った東北の旅でした。

*本編は平成10年6月掲載の「サン・ファン・バウティスタ号」の続編です。