1067mm

今が好き♪

1997.8.1

我国JR在来線の鉄道レール内側の間隔、軌道間距離すなわち鉄道ゲージの寸法です。これも通 常の営業線路としては世界最小の部類であり、狭軌と呼ばれているのはご承知のとおりです。例によって欧米では国際標準軌間(標準軌)と呼ばれる1435mmが主流で日本のものよりだいぶ広い。広い方が輸送力・速度ともに優れているのは論を待たないが、明治初期の鉄道敷設の際に建設を指導した英国の技術者から、「貴国は狭いから狭軌で十分、100km敷く予算で130km敷いた方がいいでしょう。」などと自分の国の狭い事を棚にあげて言われ、我国政府は納得してしまった。もっとも大英帝国は広かったのですが。
以来、新幹線で標準軌を採用するまでの約100年間にわたって時の国鉄は狭軌を選んでしまったことを後悔するはめになる。

小田急、東武、名鉄、東急等多くの私鉄がこれにならって同じ狭軌。京王、都営新宿線は路面 電車のゲージであった1372mm。これは馬2頭が並んで軌道内に入れる寸法で、鉄道馬車の軌道を路面 電車が踏襲したためです。ちなみに馬1頭引き馬車は762mmを使用し、こちらは軽便鉄道として残っています。近鉄、阪急、京成、京急、それに新幹線が標準軌。他国では標準軌の他に、もっと広い広軌と呼ばれる1524mmの旧ソ連国、1624mmアイルランド、最大級の1676mmを採用しているスペイン、ポルトガル、インドがあります。中国は標準軌。

ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアの一部に狭軌が使われています。英国にはグレートウエスタン鉄道の2140mmなどという型破りのものが19世紀末までありました。

旧ソ連の軌間は当時のヨーロッパ列強に侵略されにくいように、あえて乗り入れできない数値を採用したものです。また、ミリ表示の端数はヤードポンド法が基準のためで、狭軌は3'6"、標準軌は4'8.5"になっています。

それにしても、我国の新幹線は隣国相互乗り入れもないのにわざわざ1435mmなどと半端な標準軌をなぜ採用したのでしょう。あるいは将来海底トンネルか長大橋で大陸乗り入れでも考えていたのでしょうか。だとするとこの軌間はソ連でなく中国乗り入れを選んだことになりますが、当時そんな議論が政府や国鉄内にあったなどと言う話は全く聞きませんし、私鉄との相互乗り入れに至っては今も当時も論外だったはずです。なぜ1500とか、1550などのメートル法による分かりやすい日本独自のゲージを採用しなかったのでしょう。どうも脳天気にあこがれの軌間寸法に待ってましたとばかり飛びついてしまったと言うのが真相のようです。

こうして、我国は鉄道ゲージの選定という一国一度のチャンスに2度も失敗してしまったのです。