ヨーロッパで

柿崎 純一郎

2000.2.1

 

昨年10月、仕事の関係で海外見学研修会に参加してきました。一行16名、 わたしには初めてのヨーロッパ、独・伊・スイス・仏と回りました。見学研修や 観光の報告は別の機会にゆずるとして、海外旅行、アッ、今回は研修会でした、 といえば、たべものも関心のまとです。

 行く先々でレストランを選定してくださった旅行社の方には申し訳ないことですが、どうもいまひとつ。欧州の食事は米国ほどひどくはなかったものの、合格 はジュネーブのお国料理店「エーデルワイス」のオイルフォンジュ、但し、肉は おろしぽん酢で食べたかった‥‥‥。それに、イタリア・バレーゼで見学した電 材メーカー「ベティチーノ社」の社員食堂での昼食。こちらは下手なレストラン 顔負け、同席した現地女性ガイドもほめたぐらいのパスタ料理でした。ここには そのほか、たこの足の様に太い、いかげそのイタリヤ風煮付けとチャーハンもセ ルフサービスの窓口にあったのですが、これには一行の誰も手をつけず。会社側 の説明担当者とガイドはせっせと食べていました。あとで解かった話しですが、 これは日本人見学者のために用意した特別料理だったと言うことです。悪い事を してしまいました。ところが、わたし達がそれぞれの料理をとってテーブルにつ いたあと、この料理は後に続いた従業員によってまたたく間になくなってしまっ たそうです。ふだん食べられない料理で、私たちはおおいに感謝されたとか‥‥。
 もう一つは,ジュネーブ・レマン湖畔の四つ星ホテル「ホテル・デ・ローヌ」 で研修会母体の東芝が主催してくれた情報通信展TELECOM99のレセプションで のすし・マリネ・かき料理など、内陸国のシーフードなのに口に合いました。

 有名なビヤホール、ミュンヘンの「ホフブロイハウス」のポークにはビックリ、 500gはあったでしょうか、ブタのどこにこんな味がするところがあるのかと 思えるほどのしろもの、たしか全員残したはずです。ソーセージとビールは、い けただけにがっかりでした。さらに、パリ・ム-ランルージュのディナーショー でだされたサケのムニエルのようなものは最悪の部類。例のレビューショウはそ れなりに楽しめたので我慢できましたが。これで550フラン(11000円) とのことです。

 こうなると、毎3食おしきせのツアーは便利なようで、不正解といったところ。 そんなこんなで、最後のパリではとうとう日本食屋をみつけて120フラン(約 2400円)の天ぷらうどんを夜食に奮発しました。

 

当然乾麺、ひょっとしたら インスタントだったかも知れませんが、値段をべつにすればまあまあでした。翌日の自由行動日もルーブル美術館近くの「らーめん亭」で昼食。カウンターは6 割、10人ほどの入りで日本人はわたしと若い女性ひとり、ラーメンとビールで70フランは安かったのですが、壁一面に私でも知ってる日本人芸能人たちが残 した、サイン色紙がずらりと貼られていたのにはへき易。味もありふれていて、 なんてことはありませんでした。

 さて、飲んだらトイレ。どこの国も男子小用の便器が高く、日本より10cm 以上は上にあったでしょう。爪先立っての用足しです。街を歩いても大男がそん なに多いとは思えませんから、もう少し低くてもよさそうなものですが。男子用 でも便座式ばかりのところもあってこちらは個室で安心。
ホテルによっては洗面台も高いものがあったりで、顔を洗うのにも背伸びです。

 ここで、パリでのトイレ経験を紹介しましょう。チュイルリー公園のコンコル ド広場際に有料のトイレがありました。中にはちいさな土産物屋もあって、店番はトイレ番兼任の女性、トイレは2.5フラン、10フラン硬貨でちゃんとお釣 がもらえました。サクレクール寺院の帰りに寄った、サンラザール駅近くのプラ ンタンデパートのトイレも借りました。入り口が別々ながら中は男女共用だったのにはうろたえました。個室が6室ほど、同数の洗面台と向き合って配置され、 私が入っていってもご婦人たちに何事もありませんでした。出掛けに10歳ぐらいの男の子も入ってきたので、何か気になるものの、今でも間違って入ったわけではないと思っているのですが‥‥。

 また、街なかの道路中央の緑地帯などにあるトイレボックスが優れものでした。 こちらは2フランコインの投入で自動ドアが開き、用がたせます。内部は広く、 明るくて快適でしたが、いくら捜しても水洗レバーが見当たりません。やむなくそのままドアをあけて出てしまいました。ドアがしまった後、中でなにやら水洗 音、人がいなくなったら便座から何からトイレ内全体を洗い流してしまう仕掛け でした。どうりで、においも残らず、多少ぬれてはいましたがきれいでした。5 0円もしないでこんなトイレが使えれば便利です。日本にもどうでしょう。

 海外でトイレが安心して、いつでも利用できるということは、交通機関や食事、 あるいは買い物に慣れること以上に大事なことだと思いませんか。