ある体験

中野 章

1997.7.3

最近面白い体験をした。ひょんなキッカケでSE育成ゼミの臨時講師を頼まれた。SEの経験の無い私の任ではないと固辞したのだが、依頼者にうまく乗せられたというか、生来物好きの性分からつい引き受ける羽目になった。

ある大企業(日本有数の歴史のある企業)の子会社のSEを対象にしたゼミである。
 企業グループ内販売から外販え打って出るためにSEはどうあるべきか?というのがテーマである。
 ゼミのやり方はこうだ。全国の工場、事業所から集まったSEないしは候補者14~15名、年齢27~8歳、中間管理職、平社員、SE経験者、未経験者を3つのグループにわけ、仮想エンジニアリング会社3社を設立。
 対して仮想のクライアント会社(これも大企業で業績すこぶる好調、但しここ数年売り上げ自体ははあまり伸びていない)を設定、このクライアント会社に売り込みをかけ、商談の場(インタビュー)でクライアントのニーズ情報を収集し、それにより提案書を作成、プレゼンテーションを行う。その結果最優秀会社が受注を獲得するという筋書きである

この程度の案件(予算額20億円程度がインタビューのなかでそれとなく示唆されている)であれば実プロセスでは少なくとも2~3ヶ月を必要とするであろうが、それを講義、インタヴュー、提案書作成からプレゼンテーションまで3日でおこなうという厳しいスケジュールである。筆者の役割はインタビューでのクライアント会社側の社長役である。地で行けば良いかとも思ったが年商1000億円の社長は残念ながら経験はない。
 態度としてはどちらかといえば冷淡、不機嫌な顔をするようにと専門の講師からいわれていたが、これは私にとってはもっと難しい。ついつい売り込み側に手を差し伸べたくなり困った。

ともあれ3ヶ日が無事?に終わりほっとしている。
 私としては、この件のクライアント側のニーズ設定、条件設定の一部に矛盾点があると思ったが、そのへんのDetailは後日機会があれば。

 相対的には実戦的で温室育ちのSEにはいい刺激になり、今後のSE活動に参考になるであろう。SE研修生の皆さん ご苦労様。