地下鉄・乗合バス車内風景--メキシコの街角にて--

中野 章

1999.8.9

 

今回のメキシコ市内探訪には、もっぱら地下鉄・乗合バスを利用した。
 まず驚くのは運賃の安さである。地下鉄・バスとも一回2ペソ=¥30程度。地下鉄のネットワーク規模は東京の3分の1程度、バス網は東京以上のトラフィックと筆者は感じた。
 その地下鉄やバスに乗っていると、突然ギターが奏でられ、朗朗たる歌声が聞こえてくる。見事な節回しである。一曲終わるとギターを抱えたお兄さんが車内を一巡りし、何がしかの金を集めている。

 

しばらくすると今度は朗読が始まる。これはどうやらコミックストーリを話しているようで、乗客はクスクス笑っている。同じく社内を一周し、なにがしかの稼ぎをしている。卑屈な雰囲気はなく、堂々たるものである。
 かと思うと、今度は籠一杯のチューインガムを乗客に押し付けて行くお姉さんがいる。一回り渡し終えると、今度は回収して回る。結構な数の乗客がお金を払って買っている。チューインガムがクッキーになったり、カセットテープになったりする。これは富山の置き薬の社内短期決戦版である。