花言葉のある花壇

角田 稔

2006.12.21

玉川学園の駅前には学生のデザインしたイルミネーションが年の暮れを飾っているそうである。今年は青が基調になっていて、車を走らせると海底を移動する思いがすると知人が知らせてくれた。大学創始者の理念に基づいた地域ぐるみの学園生活の伝統が生かされている例であろうと、興味深く聞いた。
電気通信大学も法人化されてから様々な変化があるようである。その一つに、調布市の行政組織や市民組織との関わりが親密になったことがある。調布駅前から大学までの大通りが電通大通りと命名されたのは未だ耳新しいが、市当局の理解と努力によるものであろう。

大学正門を入ると、正面本館前に庭がある。目に付く欅の大樹は卒業記念樹として植えられた若木が育ったものであり、西側の泰山木、東側丸池のほとりにある桜も大きく育ち、本館正面玄関と見事に調和している。樹下の芝生には季節になるとネジリソウが群生し、つつじの木も植えられ、整備された庭は美しい。この庭の周縁に花壇が造られ、何年か前から美しい季節の草花が植えられるようになった。これは市民ボランティアの奉仕によるものである。

お蔭で庭が美しい花々で彩られ、大学を訪問する楽しみが増えた。花々の季節は終わっているが、創立記念日の12月8日、冬の庭にはパンジーが並んでいた。寒さにめげずに愛らしい花を咲かせていた。その一隅に、婦人の手になるとおぼしき墨書の小さな札があり、チューリップ 花言葉『愛』と書かれていた。いまだ芽吹かぬ球根がここにあるのであろう。来春にはここを通る若者たちの目を楽しませ、市民の皆さんの心も届く事であろう。赤いバラの花束を女性に贈ったり、1本の赤いバラの花を恋人に捧げる映画の場面をふと思い出した。こんな機会は滅多にあるものではないが、日常見慣れた花々それぞれの役割を思い起こせば心豊かになるというものである。
構内の樹木に名札が付けられたのは何時のころであったろうか。花壇の草花にもそっと名前、それと花言葉でも添えられていれば嬉しい。