番外編(新潟から富山)

とまりぎ

2005.11.19

11月の東京都異業種交流プラザ定例会は、新潟小千谷のパナソニック工場と富山下新川郡朝日町の会員会社工場を見学しようという計画である。寒くなりかけた東京駅から上越新幹線へ乗り込んだ当日の参加者はおよそ15名。

 下車駅の長岡は雨。北口に停車中のマイクロバスで、パナソニック工場まで30分。車の脇には湯神子(ゆのみこ)温泉とあり、遠く富山から本日の宿の主人が運転してきたとのこと。おかげであいにくの雨にもかかわらず、濡れることもなかった。

小千谷は中越地震の激震地であったのだが、パナソニックの復旧は早かった。内部のものは飛散していたが、もともと豪雪地帯のことで、柱を丈夫にしてあったことが良かったようだ。聴いてみれば納得である。しかしながら、余震のなかでの操業の決断と、その後の全社一丸の作業には並ではない力を感じた。

小千谷も新潟のこととて、15分ほどで「へぎそば」の須坂屋へ到着。幹事はいい店を探してくれた。渋谷にも同じ名前の蕎麦屋があり、やはり「へぎそば」と酒とつまみを出してくれたのを思い出した。聞いてみると、そばだけ送っているとのことで、そばつゆは違うらしい。酒が入ったのは言うまでもないが、「へぎそば」はつるりとして、大量に胃袋へ納まった。

雨の北陸道を走ること2時間ほどで新潟から富山へ入る。どんよりとした日本海が車窓から時折見えるが、反対側の窓には、そこにあるはずの北アルプスは全く見えない。TSS社の朝日工場は大きなコネクタ製造装置を造っている。10年前より拡張してちょうど納入前最終検査のところで、技術力に格段の進歩を感じた。

宿の湯神子温泉への途中、TSS社長の友人がやっている洋菓子屋へ寄ったものだから、あたりはもう真っ暗。宿から電話が入り早々に引き上げる。過去に来ている宿なのだが、建て替えたか増築したかで、初めての宿のような印象であった。

「へぎそば」がまだ完全に消化しきれていないので、宴会料理を堪能しようと、まず温泉へ入る。透明な湯は成分が少なめだが若干の硫黄臭があり、成分表によるとメタ珪酸が50mg以上ある温泉である。

海が近いので、「かに」と「ぶり」を中心の刺身で一杯と思っているうちに、次々に運ばれてくる料理を食べきれない。当然飲めなくなって、9時過ぎに全員でカラオケへ移動する。さらに飲む人は一部屋へ集ったが、酔って話が支離滅裂になる前に解散。

翌日が雲ひとつない晴天で剣岳がくっきり見える。マイクロバスで滝入口まで上がり、終点から往復約一時間の行程を全員で歩いた。風向きによっては水しぶきがかかるほど近くで見る、4段の落差350mという日本一の称名滝は大きい。TSS社長の妹さんの嫁ぎ先が湯神子温泉とのことではあるが、二日間を通してお世話になりっぱなしだった。