棒道

とまりぎ

2006.6.1

例によって5月、幹事の計画は信玄の棒道を歩くというものだった。ところが、幹事には不幸があって、今回は欠席。もう一人も地元消防団の行事で出られず、結局酒豪氏との二人旅と相成った。

 高尾から鈍行で小淵沢まで、日本酒と焼酎を続け、小海線へ乗り換えてからは雨が窓について、あたりが暗くなってきたのでしばらく静かにしていたが、佐久海ノ口で降り、雨宿りに駅前の定食屋へ入ってまたしても野菜炒め、肉炒めで一杯。午後3時を過ぎたあたりで、店が休憩にはいるとのことで、外へ出て、明るくなってきた小雨の中を宿へ歩く。
 雨が止んで、宿の近くを歩いてみる。烏骨鶏を飼っている。晩飯前に温泉へ入る。ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物泉。入っている間は熱く感じないが、出てから汗が出る。早速食事所へ移動すると頼んだ焼酎と、佐久の鯉が洗い、塩焼き、天ぷらで出てくる。およそ2時間かけてすべてを平らげ、部屋へ戻る。さすがに飲みつかれて、眠くなる。
 あまりにも早く寝たので、朝は暗いうちに目が覚め、鶏の声を聞く。久しく聞かなかったと思ったのだが、生活の身近に鶏がいなくなったということを忘れていたようだ。朝食に目玉焼きが出て、それが烏骨鶏かどうかを聞き漏らした。
 宿の車で駅まで送ってもらい、全国的に晴れ、車中では八ヶ岳が目前に広がる。計画に従い甲斐小泉で降り、「三分一湧水」から棒道へ入る。最初は案内表示があったのだが、それが見えなくなったと思ったら、長いのぼりの先で車道へ出てしまった。

どうも途中で間違えたかと、ちょうど車を止めてこちらへ来る人に聞いてみると、確かに間違っていた。だが、ここまで上がってきたのだから遠回りになるがと、教えてくれた道を行く。車には小さくパトロールとあった。
 森の茶屋で早い時間の昼食を済ませ、地図をもらって、ようやく棒道に合流した。案内板の説明によると韮崎から茅野の先の大門峠へ至るほぼまっすぐな道なので「棒道」と言うのだそうだ。ということはここから小淵沢駅へ向う道は棒道ではなく、我々はそのほとんどを歩くことなく遠く迂回してしまったということになる。運動にはなったが、残念。
 道の駅とスパティオ小淵沢があって、もう一回温泉へ入る。ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉。午後はやい時間の、太陽が照りつけるなかを、駅への下りを歩く。過去存命中の先生も同行の「塩沢温泉」へは、駅から国道20号側へ降りたので、そのときとは反対側から駅入り口へ向ったことになる。駅前を昔の記憶をたよりに歩き、「酒」の表示を見つけ、焼酎とツマミを手に入れる。これが帰りの車中でほとんどなくなってしまった。

いままでの「とまりぎ」の旅で、欠席者がいたことはあったが少なくとも三人、今回のように二人旅になることはなかった。それがまた酒豪氏であるから、酒量が増えるかと思っていたが、まったくいつもとかわらずであった。無事でなにより。