唐沢鉱泉

とまりぎ

2007.6.7

高尾8:44から鈍行に乗り、小淵沢でまた鈍行に乗り継いで茅野11:57に着いた。西口駅前の蕎麦屋でみんなが辛味大根そばを食べていると、交番前に迎えのマイクロバスが着き運転手が降りてきてタバコを吸っているのが見えた。客は我々と登山姿の若い夫婦の7人であった。三井の森を過ぎ、夏沢鉱泉への道と別れて左の砂利道に入り緑の中をとばし川沿いの大きな一軒宿、唐沢鉱泉1870m 13:25に到着した。茅野から30分程であった。

部屋で少し休んでから天狗岳への西尾根にある第一展望台2416mに向かう。往復3時間とのことで夕食までにちょうどよい。宿の前の小さな橋を渡るとすぐ急な登りとなった。透き通るような空のもと鳥の声を聞き、唐松などの芽吹きや白樺の幹などを眺め、樹木や草の匂いに満ちた爽やかな空気を楽しみながらゆっくりゆっくり進む。1時間ほどで西尾根14:50に着いた。あと50分程の登りであるが、「脚に来た」といって3人が戻ることになった。戻りはこの尾根を下って枯尾の峰経由にするという。「登ってきたら」との有り難い言葉にのって2人が上を目指す。急いだので苦しい登りだったが視界が開け第一展望台15:25に着いた。赤岳2889.2mを主峰とする八ヶ岳連峰など360度の展望に感激した。全員が登れていたら喜びもさらに大きかっただろう。スケッチをしていると、さらに先の方から「こっちだよ」の声が聞こえた。そこから少し行ったところが第一展望台であった。3人に追いつけるかとがんがん下った。枯尾の峰付近は石楠花の多いところだがまだ咲いておらず、山桜が小指の先ほどの花をいっぱい付けていた。宿17:00に戻ると3人はすでに温泉に入ってくつろいでいた。枯尾の峰手前で右に迷い込んだそうだ。

木ですっきりと作られた長方形の浴槽がふたつ、浴槽の間に木組みの枡ができていて源泉10℃が勢いよく流れ出していた。大きい方は41~42℃くらいかやや熱めで、小さい方は木組みの枡から源泉を少しづつ湯に加えておりややぬるめで38℃くらいか。いずれも心地よく入っていられた。鉱泉源の湧出量は毎分600リットル、泉質は二酸化炭素冷鉱泉。口に含むとやや渋みを感じる微炭酸で、ぬるめの湯に入っていると肌に小さい泡が一面に付く。効能は神経痛、筋肉痛、五十肩、高血圧などなど。夕食18:00の料理はなかなか美味しくみな満足した。寝る前にもう一度ゆっくり温泉に入った。夜中に星空を見るつもりがすっかり寝入ってしまった。

翌朝は五時起床。滑(なめ)滝を見ようと出かけた。近くの鉱泉源を見てから唐沢を遡った。堰堤を越え、岩を伝いながら30分程で滝についた。ゆるい傾斜の長いながい積層岩盤の滝で、とは言っても水量が少なくちょっと滝のイメージには遠かった。朝食のあと八方台(展望台)8:10に出かけた。往復2時間のコースである。マイクロバスで来た道をくだった途中を右に折れてからのやや上りの道は幅広く、左側は視界が開け、右側は朝の光に緑が映えてなんとも気持ちがよい。八方台からは南八ヶ岳がみえたが中央や南アルプスはもやっていて見えなかった。帰りは黒百合平への道をとり熊笹の中を登る。岩や木々の下の地面は苔で一面見事に覆われていた。渋の湯からくる道との十字路を右へ一気に下って宿のすぐ裏に出た。宿の裏はヒカリゴケの群生地である。宿10:40に入り温泉で汗を流しさっぱりし、朝受け取ったおにぎり弁当で早めの昼にした。元気のいい女将が味噌汁をわざわざ温めてごちそうしてくれて感謝。その息子さんの運転で茅野駅12:40に着いた。

茅野12:51からまた鈍行に乗り甲府、大月で乗り継いで高尾16:13に降りた。駅前にある蕎麦屋で乾杯、よもぎざる(うどん)で夕食。入ってくる客は山帰りの中年ばかりであった。白鵬が全勝優勝を決めたのを見てから、にぎやかな店をあとにした。