十谷温泉

とまりぎ

2010.07.13

十谷(じゅっこく)温泉は身延線の鰍沢口駅から富士川沿いに国道52号線を少し南下して右に大柳川(おおやながわ)に沿った県道を行き大柳川渓谷の奥まったところにある。

5月末、5人がいつものように高尾駅で集まり甲府駅まで飲みながら行く。甲府駅でおりて舞鶴城公園(甲府城址)に立ち寄る。何度か訪れているが公園の整備がかなり進んだようだ。稲荷曲輪から稲荷櫓に入る。稲荷櫓は中が博物館になっており“甲府城物語 天下の要 甲府城と城下町”が展示されていた。本丸や天守台などの石垣群を目の当たりにし、また博物館で出土遺物や絵図面等を見て改めて大きな城であったことを認識したものだ。甲府駅に戻る。

鰍沢口駅から迎えの車でおよそ20分、十谷荘に着く。とまりぎの旅としては9年前の5月末にも来ており、その時は源氏荘に宿をとった。(*) 渓谷に向かった3部屋通しの部屋に案内される。さっそく湯に入ることにし歩いて1~2分のところにある外湯に向かった。“天狗の大岩風呂”の名前がついており渓谷に突き出るように立つ六角形の建物である。風呂は石造りで五角形、大きな天狗の面の鼻先から湯が勢いよく出ている。大きな窓からは緑の中に滝や釣り橋などが眺められる。5人だけでゆっくりと湯に浸かった。泉質は単純硫黄冷鉱泉(弱アルカリ性低張性冷鉱泉)、無色透明、無味無臭である。効能は神経痛、筋肉痛、疲労回復、冷え性、糖尿病等。湯上りを楽しみながら景色を見ながらのんびりと宿に戻った。寝る前に檜風呂の内湯に入った。こちらもなんとも心地よかった。

二日目の予定は大柳川渓谷を散策しつつ下り“つくたべかん”で蕎麦打ち体験だ。いくつかのつり橋を右に左に流れを渡り、滝を見て進む。竜仙橋(りゅうせんきょう)まで来ると入口に“この先崩落のため通行できません”との表示がありロープが張られていた。やむなく引き返すことにした。それではと2人が幻の滝を見たいと、すぐわきの沢筋を行ったが道がわからず、河原を進んで別の滝(涼みの滝)を見つけた。そこから戻り観音橋手前で3人と合流、国道に登り出て“つくたべかん”に向かった。蕎麦打ちを申し込む。一番うまい蕎麦を打つという最長老のおばあさんの指導のもと500g(そば粉7、小麦粉3)を混ぜる、もむ、こねる、伸ばす、切るを体験した。ゆでる、盛り付けはおばあさん。こねるの工程では“350回”との厳命があり5人で順番に汗をかいた。できあがったざる蕎麦がお昼である。さまざまな太さの蕎麦だったがことのほかうまかった。

“つくたべかんから”から国道を歩いて下る。親水公園の不動の滝でひと休み。さらに歩いて道沿いの甲州鰍沢温泉“かじかの湯”に入った。泉質はナトリウム塩化物泉。適応症は神経痛、筋肉痛、関節痛等々。もう歩く気はなくタクシーを頼んで鰍沢口駅に運んでもらった。入線していた列車に駆け込みほっとする。甲府駅北口の“小作”で早めの夕食。かぼちゃほうとう、カレーほうとうを食べたあと、あま~い小豆ほうとうを仕上げに満足して帰途についた。

(*)その時のとまりぎのエッセイが“十谷”として出ている。
また“源氏荘”は今回“白根館別館 源氏の湯”となっていた。